〜恐ろしくも過酷なる音楽世界〜
DEATH METAL

DEATH METAL、それはロマン。 DEATH METAL、それは音楽の極み。選ばれし者だけが 聴くことを許され、私のように耳が繊細でない、ごく一般的なリスナーにとっては嫌悪感のみを募らせる、 残忍で獰猛な世界。
DEATH METALを初めて耳にした大抵の者は次のようなセリフをはく。「これはわいにとって音楽やない。」そのとおりだろう。 音を楽しむとかいて音楽という。その音を聞いて不快と思えばそれはその者にとって音楽にはなり得ないのである。 私にとっても日本音楽界の諸悪の根源小室哲哉の作りだすものは音楽ではない。
締まりの悪い前振りはさておき、私がこのおぞましい世界に足を踏み入れたのは高校1年の春、その時買ったのがDEATHのサードアルバム(下参照) だったのだが、私も最初メロディアスさのカケラもないこのアルバムを全く解することができず、 好きになるのに、なんと実に約3年の歳月を費やしたのである(というより3年間ほったらかしだった)。
私が再びこのアルバムに手を伸ばしたのは浪人時代、高校時代に生じだしたプログレ熱もだんだんと冷めかかってる頃だった。 私はこのDEATH METALなる音楽を聴くにつけ、知らず知らずの内に音に対する忍耐力が備わっていた。 そして幸か不幸か、最初に不快としていたこの音楽性が癖になり、 言い知れぬ快感を覚えるようになっていったのだ。正に「苦しみに耐え、幸福にいたる」である。 そこで私はようやくDEATH METALの恐るべき奥深さに気づいたのであった。「これぞ音楽の極み!」だと・・・

さて、ここでは、究極のDEATH METALを5枚のみ、私の独断と偏見で厳選し、紹介させていただいた。 DEATH METAL界では比較的有名どころなアルバムばかりなので、初心者向けといえるだろう。 但し、DEATH METALに関して全くの認識がない者は火傷を負いかねないので注意されたし。

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「Domination」/Morbid Angel


恐らくMORBID ANGELがDEATH METAL界、いやHR/HM界において"帝王"であることを否定する者は一人もいないだろう。 いたとしたらその者は聴く耳のない愚者か、MORBID ANGELを聴いたことがない無知蒙昧者だろうことは間違いない。 一曲目から残忍性を剥き出しにしたデヴィッドの非人間的な咆哮で幕を開けるこのアルバムは、 彼らの音楽性を確立したこれ以上のものは創造しえない史上最大にして最高傑作である。 その冒涜なまでに歪みきった“万物の主である盲目にして錯乱の神”アザトースの異名を持つトレイのギターワーク、 史上最速を誇るピート“コマンド”サンドバルによる止むことを知らないマシンガンブラストビート、 そういったものが魔闘気のごとくスピーカーから一度に放出されてくる。 この神秘的且つ魔人的音楽性はデヴィッド、ピート、トレイの三位一体が結合して始めて成せる業である。 曲の合間合間に挿入されているシンセサイザーなどの効果音は人類が滅亡へと一歩一歩前進していくような 世紀末に相応しい不気味な効果をもたらしており、トレイがまさに完璧主義者であることを 覗わせるには十分過ぎるほどの怪演出である。リスナーはただ彼らの前に跪き、服従するのみである。

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「Bleeding」/Cannibal Corpse


クリフ・バーンズ最後のアルバムとなった人肉供喰軍団CANNIBAL CORPSEの4thは、彼らのアルバム の中では驚くほど聴きやすい内容となっている。前作ではいきなり獲物をナイフでメッタ切りにするような突発性を擁していたが、 今回は皮から順番にジワジワと削ぎ落としていくかのようなグルーヴ感が加わり、なぶり殺し的な残忍性が特徴的である。
人を喰ったようなクリフのスクリーム、人肉を切り刻むかのような木目細かなギターリフ、それと特筆すべきは、 なんといってもDEATH METALにしては存在感のあるウェブスターのベースだろう。その歪みきった内臓をえぐりだすかのようなベース音は 曲をさらに残忍非道なものにしている。
最後に余談ではあるが、彼らはジム・キャリー主演映画、「エース・ベンチュラ」に出演している。

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「Spiritual Healing」/Death


デスメタルの創始者とされるチャック率いるその率直なバンド名と音楽性がナイスなDEATHの出世作。 「HUMAN」以降のDEATHはそのロゴのDから蜘蛛の巣が取り払われたことからも窺えるように、チャック自身B級ホラー映画的な要素を排除し、ドラマティックで複雑な曲構成、メロディアスな 音楽性に固執していき、筆者としてはテクニック志向に偏り過ぎてかつての残忍性がなくなりハッキリ言ってつまらなくなった。 私が選んだこのアルバムは、DEATH METALらしくないとか、迫力に欠けるなど、世間ではかなり過小評価されているが、初期の残忍性と印象的なメロディーライン、 チャック特有の「しゃあああああ〜〜〜〜!!」という唯一二無の咆哮がアルバム全体を通して交差する完成度の高い見事なアルバムだと思うのだが・・・。 私が初めて買ったデスメタのアルバムだから個人的思い入れが強いと思われがちだが、(多分そうなのだろう) このアルバムは聴けば聴くほど奥が深いDEATH!!(エコー)
彼らの初来日公演で一曲目にいきなり"Spiritual Hearing"の前奏が始まった時の感動は忘れられないDEATH!!(本作からは この曲のみだったが・・・)

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「Extreme Conditions Demand Extreme Responses」/Brutal Truth


元NUCLEAR ASSAULTのダン・リルカ率いるBRUTAL TRUTHのデビュー作。最初聴いた時、そのあまりの暴力的で過酷な音楽性は 疲労感が溜まる以外のなにものでもなかったが、聴けば聴くほど癖になる聴覚を狂わす正に驚異的なグラインドアルバムである。 音楽性としてはNUCLEAR ASSAULTをさらに過激且つスピーディーにしたといった感じだ。凶暴性をそこらじゅうに撒き散らすかの ような各メンバーの演奏、特にズ太いベース音をゴリゴリいわすダンのプレイは圧巻だ。そして 歌うことを知らない高音で叫ぶか低音でがなるかの2パターンのヴォイスを使い分ける(コンピュータでいう0と1の 世界)ことのみで一曲一曲を個性あるものにしているケヴィン・シャープの表現方法は見事というしかない。

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「Mass Appeal Madness」/Napalm Death


殆どDEATH METAL化した、唯一のオリジナルメンバーであったミック・ハリス最後のNAPALM DEATHのミニ・アルバム。 (脱退した理由がミッチ・ハリスとよく名前を間違えられるからだというのはどうもデマらしい。)
最初NAPALM DEATHのアルバムを買う時、こけるのが恐かったので、20曲以上のフルレンスはきついと思い、 あえてミニの方を選んだのだが、そのアルバムのトータルタイムがなんと通常のシングルCDよりも短く、たった9分しかないと いうAのぬけたDEATHのようなアルバムで見事にこかされたのを憶えている。しかし今になってみると、NAPALM DEATHの アルバムの中で通しで最後まで聴けるのは結局この1枚だけである(その短さゆえ集中力がもつのデス。)とはなんと皮肉なことであろう。


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