江戸川乱歩『陰獣』
参考音楽:「陰獣」/人間椅子(アルバム(インディーズ)『人間椅子』より)
ドグラ・マグラ=明治維新前後まで切支丹伴天連の使う幻魔術のことを言った長崎地方の方言。眩魔作用・堂廻目眩・戸惑面喰
・巻等歌 「胎児の夢」 “胎児よ 胎児よ 何故踊る 母親の心がわかって おそろしいのか”
“イン・ゲ・トゥ・イ・ゲ・シ・サン・ミム・ダ・シュ
なんじゃそりゃ・・・
参考文献:『クトゥルー神話辞典』/東 雅夫 編、『魔道書ネクロノミコン』/ジョージ・ヘイ 編
<ラヴクラフト先生の他の私的代表作>
【ブラック・ジャック傑作エピソード10選】
<手塚先生の他の私的代表作>
・『ヘヴィ・メタルの逆襲』/ 伊藤政則…ランディー・ローズ、アイアン・メイデン、オジー・オズボーンなどの涙のエッセイ。
・『黒死館殺人事件』/ 小栗虫太郎…日本三大奇書のひとつ。ファウストの呪文を軸に殺人事件が展開していく超難解探偵小説。
・『ナニワ金融道』@〜R巻/ 青木雄二…連帯保証人、念書、マルチ商法、手形の裏書などの怖さがわかる漫画。
・『魔道書ネクロノミコン』/ ジョージ・ヘイ編…邪心召喚、封印の奥義など禁断の書物に隠された大いなる神秘が綴られている。
・『しあわせの書−迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術−』/ 泡坂妻夫…この本には特殊な仕掛けが施されている。私もこれでよく知人を驚かせたものだ。
・『怪物の解剖学』/ 種村季弘…怪物の作り方、マンドラゴラ、ドッペルゲンゲル、機械人間などのエッセイ。
・『美はアルプスを超えて』…ブリューゲル、デューラー、アルチンボルドなどの幻想的な絵が満載されている。
・『RED HOT CHILI PEPPERS』/ デイヴ・トンプスン…レッチリの波瀾万丈なる武勇伝。
・『コブラ』/ 寺沢武一…色っぽいギャル、最強の悪者、タフな主人公、息を呑むスペースアドベンチャーストーリーに私は陶酔したものだ。
・『不思議の国のアリス』/ ルイス・キャロル…とにかくジョン・テニエルの画が好き。話はナンセンスさがいい。
・『不思議の国の犯罪者』/ 山田正紀…兎さん、眠り君、帽子屋さん、アリスちゃんといったユニークな登場人物が展開していくサスペンス。
・『どらン猫小鉄』/ はるき悦巳…小鉄の額の月の輪の秘密が明かされる。雷蔵と呼ばれていた頃の小鉄の“三途の猫町”での決闘伝説。
・『目玉と脳の大冒険』/ 荒俣 宏…絵を見てるだけでもおもしろい。
・『ロッキン・ラヂオ』/ 和田ラヂオ…めちゃ笑ける。ロックファン向けギャク漫画。
・『アーロン収容所』/ 会田雄次…大東亜戦争後、英国軍の捕虜になった会田氏の少しユニークな人種観察を踏まえた体験談。
・『DREAMS』/ JIM SHAW…おそらく彼の支離滅裂な夢の中の出来事をそのままイラストにしたんだろうな、楽しそうだ。
・『ルーツ・オブ・ブリティッシュ・ロック』/ 深民 淳…60〜70年代の英国のハード・ロックの黄金時代のバンドやアルバムのダイジェスト本
・『虚無への供物』/ 中井英夫…日本三大奇書のひとつ。薔薇と不動と犯罪の神秘な妖かしに彩られた密室殺人の物語。
・『つっぱりドクロ族』@〜I巻/ 天信…私が小学生時代描いた最初の漫画。殆どきんたまんのパクリ。従兄弟にはけっこうウケてました。
<乱歩先生の他の私的代表作>私が江戸川乱歩の妖美な世界に嵌まったのは、高校3年の春のことである。この「陰獣」においては
真夜中に枕元で読み耽っており、そこに展開する陰美なる世界が当時のウブな私にとってあまりにも強烈だったため眠れなくなったのを覚えている。
陰獣とは、猫のような魔性の陰気なけものの意であり、その表現通りの大江春泥(←乱歩の化身か?このペンネームがナイス!)という犯人像が
竹中英太郎氏の怪奇幻想を尽くした挿し絵も手伝ってみごとに描き出されている。
妄想ばかりしている語り手主人公の“肌と肌の触れ合う不可思議な感触を密かに味わう”ムッツリエロな描写から、終盤突如SMチックな展開に発展していく
怒涛の結末の後味の悪さもまさに私好みである。
この物語を読み終えた後、なにかしらぞっとする一種異様な戦慄を感じないではいられないでしょう。
「人間椅子」「地獄の道化師」「悪魔の紋章」「黄金仮面」「地獄鏡」「心理試験」「屋根裏部屋の散歩者」etc.
夢野久作『ドグラ・マグラ』
【ドグラ・マグラ 概要】
この作品は、久作先生が約10年の推敲の末に描き上げた、精神異常犯罪者の心理試験という眩惑的な構想に、神秘趣味、猟奇趣味、探偵趣味、科学趣味、色情表現(エロチシズム)
、ノンセンス味を超百パーセントに盛り込んで薄気味の悪い妖気に読者の毛孔をいつまでもゾーッとさせるまさに日本を代表
する驚異の眩魔怪奇長編小説である。しかしこの物語を読むにあたっては相当の覚悟が必要である。兎に角読む量が半端ではない。漢字がメチャメチャ多いし。
私は少しでもこういったものに興味を抱いている者にはこの本を薦めてきたのだが、悲しいかな、その者の中で読破
した者は一人もいない。だが彼らはそれで幸福だったのかもしれない。なぜならこの物語を全て読破した者は必ず一度は精神に異常をきたすらしい・・・末恐ろしい本である。
まぁ私はこの作品を2回読んだが精神病院送りになる羽目にはまだ至ってないが・・・バカだからか?就寝時にたまにパニック症状に襲われることが
あるけど、これがそうなのだろうか!?
兎に角この作品は輪廻転生の概念をもひっくるめた堂々巡りなドコドコまでもノンセンスな一種の脳髄のキチガイ地獄である!!
これを読んだあなたはもう「出してくれくれくれ呉!!モ、モヨ子〜〜〜!!」と叫ばずにはいられないだろう。そして最期に蜜蜂の唸るような音を聞く事だろう。
………ブウウ―ーーーーーーンンンーーーーーンンンン…………。
・「精神病院はこの世の活地獄」という事実を痛切に唄いあらわした阿呆陀羅経の文句(チャカポコチャカポコ)
・「世界の人間は一人残らず精神病者」という事実を立証する精神化学者の談話筆記
・胎児を主人公とする万有進化の大悪夢に関する学術論文
・「脳髄は一種の電話交換局に過ぎない」と喝破した精神病患者の演説記録
・冗談半分に書いたような空前絶後の遺言書(キチガイ博士手記)
・唐時代の名士呉青秀が描いた死美人の腐敗画像
・その腐敗美人の生前に生き写しともいうべき現代の美少女に恋い慕われた一人の美青年が無意識のうちに犯した残虐、不倫、見るに堪えない傷害、殺人事件の調査書類
「キチガイ地獄」「犬神博士」「押し絵の奇跡」「悪魔祈祷書」「死後の恋」「少女地獄」「あやかしの鼓」
澁澤龍彦『黒魔術の手帳』
<澁澤先生の他の私的代表作>黒魔術の手帳といっても「誰でもできる!悪魔召喚」とか、「困ったときに役立つ呪文」などがギッシリとイラスト付で搭載されている
というようなマニュアル本ではない。カバラ、占星術、タロット、錬金術、自然魔法など、俗に黒魔術と称されているオカルティズム
(神秘主義)をめぐるさまざまなエピソードを紹介したエッセイ集である。本書のカヴァーに使用されている両性神ヴァホメット
のイラストは、当時サタニックなスラッシュメタルやデスメタルといった音楽に傾倒していた私にとってはとても魅惑的であり、買いたいという衝動をどうしても
抑えることができなかった。まぁジャケ買いである。
本書で特に印象的だったのはホムンクルス誕生(現代でいうクローン人間のこと)の話と中世フランスの戦争でジャンヌ・ダルクの忠実なる部下でもあった青髯男爵として有名なあのジル・ド・レイ
の残虐物語、このエピソードはかなりエゲつない。
最期にこの本で紹介されていた蝿の王ベルゼブブを召喚する際、ファウストが魔除けのサークルの中で唱えたまぬけな呪文を下記に紹介しておこう。
もしお前が悪魔の宝を手に入れたら、神に感謝を捧げて一刻もはやく外国へ出発するがよい。ぐずぐずしていると危険である。”
「毒薬の手帳」「秘密結社の手帳」「快楽主義者の哲学」「夢の宇宙誌」「世界悪女物語」
H.P.ラヴクラフト『ラヴクラフト全集2』
【旧支配者とは】
ハード・ロック、ヘヴィ・メタルを聴く者ならば一度はラヴクラフトの名を耳にしたことがあるだろう。
METALLICA、MORBID ANGEL、人間椅子などが過去に彼の作品を題材に取り上げている。
彼の作品は単なる幻想ではなく、実際に存在するといわれる古代の神話をベースに彼なりの解釈で描かれているというのが最大の魅力である。
その題材となっているのが「アル・アジフ」と呼ばれる魔道書で、作品の中ではアラビアの狂詩人アブドゥル・アルハザードが
著したとされるネクロノミコンとして登場し、およそ正気や健全な意識にとってはあまりにもおぞましすぎる、ある考え、伝説が
記されており、この”人類が地球上にあらわれる以前の恐るべきいにしえの神話”を読んだ登場人物はことごとくそのことを心から悔やむようになり、
ついには発狂してしまう。
彼が所持していた奇怪な神々の家系図からラヴクラフトが旧支配者の末裔であった!?こともまことしやかに囁かれている。
参考音楽:「全ての邪な神々よ!」「ANGEL OF DISEASE」/MORBID ANGEL、「ダンウィッチの怪」「狂気山脈」/人間椅子、「CALL OF KTULU」「THE THING THAT SHOULD NOT BE」/METALLICA
宇宙の邪悪を体現する神々の総称。かつて太古の地球に到来し、地上に君臨していたことからこの名がある(ときに<大いなる種族>や<古のもの>を
旧支配者と呼ぶこともあるが、これらは神々とは異なる存在である)。
その多くは、地(ヨグ=ソトース、ツァトゥグア、シュブ=二グラス、ナイアルラトホテップなど)・水(クトゥルー、ダゴン、ヒュドラ、オトゥーム)・火(クトゥグア)・風(ハスター、ツァール、イタカ、ロイガー)
の四大に分かれ、それぞれにヒエラルキーが存在するが、アザトース、アブホース、ウボ=サラス、ウムル・アト=タウィルのように位置づけが困難な神性も多い。
またクトゥルーには深きものども、ハスターにはバイアクヘー、クトゥグアには炎の生物が従う。四大神性の間には対立がみられ、
クトゥルーとハスター、ナイアルラトホテップとクトゥグアは敵対している。
かつて旧支配者は結束して旧神に反逆したが敗れ、地球の地底や海中、宇宙空間にそれぞれ幽閉された。(ナイアルラトホテップだけは自由に活動できるらしい。)
旧支配者は、従者や一部の人間たちを操って、<旧神の封印>を破り、復活する機会を常に窺っている。
「インスマウスの影」「ダンウィッチの怪」「未知なるカダスを夢に求めて」「クトゥルーの呼び声」「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」
「時間からの影」etc.
手塚治虫『ブラック・ジャック』
手塚治虫(おさむしと読まない)といえば、鉄腕アトムを思い浮かべる人が大半だと思うが、私はこのブラック・ジャックをお薦めします。
医者を主人公にして怪奇趣味や探偵趣味を盛り込みながらこれだけのヒューマンドラマを展開させることができるのはやはり元医者でもある天才手塚治虫先生の成せる業である。
ブラック・ジャックこと間黒男はモグリ(無免許)の天才外科医で、腕は超一流だがそのかわり法外な金を請求する
悪魔的な男であるが、しかしたまにタダであったり100円であったりするのでわけがわからない。ダーツが得意で
敵をメスで射止める時はいつも百発百中である。自分の腹を自分でさばいて手術したり、死体や宇宙人も
手術してしまうというまさにスーパーマン。ヒョウタンツギやオムカエデゴンスなどが登場して場をしらけさせてしまう
ところは作者のナンセンスなユーモアが垣間見られる。それに作者コメントのところでいつも「トランプゲームの
ブラック・ジャクとは関系ありません。」とことわりの文が書かれてあるのが妙に親切。
晩年はいろんな了見の狭い団体や組織から「これは描いてはいけない」「この病気については描くな」などという抗議が殺到し、あまりの
制限や制約の多さに描きようがなくなりついに連載が打ち切られたというから誠にナンセンスな話である。このわからずやどもの圧力は
まるでブラック・ジャックを誤解して非難を浴びせかける劇中のバカな偽善者や権力者そのものではないか!!
・「めぐり会い」…黒男がインターン時代唯一愛した如月めぐみとの悲しい恋愛劇。黒男の情熱的なキスシーンは見物である。
・「2人のジャン」…なんとシャム双生児が登場する話で、畸形人間を扱った現代では絶対描けないであろう問題作。
・「ディンゴ」…黒男が自分の腹をさばいて手術するというとんでもない話、ここで彼は寄生虫エヒノコックスの新種を摘出。
・「魔女裁判」…迷信深いキリスト教徒の村人達から迫害される一つ目の畸形児を持つゾロアスター教徒の母を黒男が救う物語。
・「ふたりのピノコ」…公害病に苦しむピノコに生き写しの少女を救えなかった黒男の怒りの形相が印象的。
・「身の代金」…誘拐犯と子供の間に芽生えるよくある絆の物語。片腕を切断するハメになった犯人の叫びが印象的である。「アーキーラーやーーい」
・「ポケットモンスター」…轢き逃げ犯の容疑者にされた黒男が自ら死体解剖を行い血液中の石灰から見事犯人を探り当てる探偵趣味溢れる話。
・「闇時計」…肌の色の違いなど洞窟の暗闇の中では無意味だと人種差別者の白人に迫る黒男が勇ましい。彼の正確な体内時計が黒人患者を救う。
・「座頭医師」…ハリ師琵琶丸との一騎打ち!手術など無意味だと言う慈善家の彼を黒男は真っ向から否定。そして琵琶丸はほくそえむ。イッヒッヒッヒッヒ・・・
・「上と下」…希少な血液型“RHマイナス”の持ち主である社長と建設作業員との地位を越えた友情物語。ちなみに私の姉もこの血液型だ。
「陽だまりの樹」「アドルフに告ぐ」「火の鳥」「ブッダ」「フースケ」「きりひと賛歌」「奇子」「七色いんこ」「鳥人体系」「ネオ・ファウスト」etc.
http://www.paris-art.com/lieu_detail-2361.html